スクラムにおいて、スプリントゴールはチームの努力を導き、スプリントの明確な方向性を示す重要な役割を果たします。スプリントゴールとは、スプリントの目的を定義し、共通の目的に向かってチームを調整する簡潔なステートメントです。この記事では、スクラムにおけるスプリントゴールの重要性を探り、良いスプリントゴールを作成するためのヒントを提供し、3つのケーススタディのスクラムチームのスプリントゴールのサンプルを紹介します。
1. スクラムにおけるスプリントゴールとは何ですか?
スプリントゴールは、スクラムチームにとって焦点となるもので、スプリント中に取り組むべき明確な目標を提供します。スプリントゴールは、集中、調整、透明性を生み出すのに役立ち、チームが自分たちの仕事の目的と、自分たちが生み出そうとしている価値を理解することを確実にします。スプリントゴールはまた、進捗を追跡し、スプリントの成功を評価するためのメカニズムも提供します。
スプリントゴールが明確に定義されていることで、チームは作業の優先順位を効果的につけ、スプリントバックログに何を含めるかについて十分な情報を得た上で決定することができます。これにより、チームは目的意識を維持し、スプリント全体を通してより高いレベルのエンゲージメントを保つことができます。さらに、スプリントゴールはチーム内のコラボレーションとコミュニケーションを促進します。
2. スクラムチームが良いスプリントゴールを作るには?
効果的なスプリントゴールを作成するには、スクラムチーム内での協力が必要であり、最初は簡単ではないかもしれません。ここでは、良いスプリントゴールを作成するためのヒントをいくつか紹介します
- 🎯 具体的にする: スプリントゴールは明確で具体的でなければなりません。評価が難しい曖昧で抽象的な目標は避けましょう。同時に、あまりに具体的にしすぎて、チームがスプリント全体を通して計画を適応させる妨げにならないようにしましょう。
- 🌟 価値に焦点を当てる: スプリントゴールは、プロダクトゴールへの小さな一歩であるべきです。もちろん、(たとえば顧客満足度や売上によって測定されるように)提供される価値に直接影響を与えることが期待されるスプリントもありますが、スクラムチームには、より間接的に価値を生み出すスプリントがあることも一般的です。例えば、特定のプロジェクトリスクの軽減、仮説の検証、市場や新技術に関する知識の獲得などです。
- 🤝 チーム全員を巻き込む: スプリントゴールを定義するプロセスにスクラムチーム全体を参加させます。これにより、理解とコミットメントが共有され、成功の可能性が高まります。
- 📏 キャパシティと実現可能性を考慮する: スクラムにおけるスプリントゴールは、達成可能であることを確認するために、スクラムチーム内でも共同で作成します。
3.架空のスクラムチームを使ったスプリントゴールの事例
スプリントゴールをどのように作成するかは、みなさんとみなさんのチーム次第です。特定のテンプレートやフォーマットに従う必要はありません。しかし、チームで作業を始めやすいように、3つの異なる架空のスクラムチームのスプリントゴールのサンプル事例を紹介します。
サンプル1:
- プロダクトジャンル: B2C ソフトウェア製品 📱
- プロダクトゴール: 市場シェア10%およびNPSを5ポイント向上させることで、マーケットリーダーになる
- スプリントゴール:
- フィーチャーの提供: "プレミアムユーザー4万人全員への一括ファイル共有機能の実装と提供をする"
- 問題解決: "最新の分析データから、最も緊急性の高いアプリケーションのパフォーマンス問題を特定し、解決する"
- リスク軽減:"データプライバシーを確保し、ユーザー情報を保護するために、既知の5つのセキュリティ脆弱性すべてに対処する"
サンプル2:
- プロダクトジャンル:セールス&マーケティング 💼
- プロダクトゴール: 年末までにコンバージョン率を10%向上させる
- スプリントゴール:
- フィーチャーの提供: "顧客セグメントX向けの新しいランディングページを開発・公開する"
- 仮説の検証: "SMSリマインダーがリードの反応率を高め、ROIがプラスになるという仮説を検証。全国展開するかどうかを決定する"
- 知識の獲得: "次のスプリントからマーケティング活動をより正確にカスタマイズできるように、新しい分析データを取り入れた顧客セグメンテーションの微調整する"
サンプル3:
- プロダクトジャンル: データサイエンス/予測モデリン 📊
- グプロダクトゴール:ステークホルダーからの信頼を高め、少なくとも1つの新しい主要なユースケースにモデルの使用を拡大できるようにする
- スプリントゴール:
- データ品質の向上: "既存のデータセットを改良し、現在のデータに含まれる異常の20%を特定し、修正することを目指す。"
- モデルの強化: "2つの変動要素を取り入れることで既存モデルの予測精度を3%向上させることを目標とする。"
- 新製品の機会探索: "サプライチェーン部門と協力して、我々のモデルを彼らのシステムに統合する MVP を開発し、このユースケースにさらに時間を投資するかどうかを決定する。"
結論として、スプリントゴールはスクラムに不可欠な要素です。具体性と柔軟性のバランスがとれたスプリントゴールを作成することで、スクラムチームはスプリント中の作業を導くために必要な集中力と整合性を得ることができます。
これらのスプリントゴールは、解決すべき問題、開発すべきフィーチャー、対処すべきリスク、獲得すべき洞察、検証すべき仮説など、複数の形をとることができます。
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著者について
グレゴリ・フォンテーヌは、Scrum.orgの約350名のプロフェッショナルスクラムトレーナー™(PST)の一人であり、合同会社AgoraxのCEOです。
ソフトウェア開発だけでなく、様々な分野でスクラムを適用してきた長年の経験を持っています。彼は唯一の日本語を話すPSTであり、長年にわたって日本のクライアントや学生をサポートしてきました。もっと詳しく知りたい方は、グレゴリのクラススケジュールやアゴラックスのウェブサイトをご覧ください。